ANCKIT − アクティブ消音実験キット

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アクティブ消音(ダクト消音)は技術的に非常に難しいというほどのものではありません. しかし開発にあたってはデジタル信号処理(適応アルゴリズム等)だけではなく,DSPプログラミングや音響の知識も必用となります. そのためにメーカーの研究所や教育機関などでも,以外とシステム構築に苦労されているところが多いようです.(ダクトも作って実際に音が消えるようにするのには時間と手間がかかります)
ANCKITをご利用いただければ,動作確認済みのANCKITをベースとして無駄な手間をかけずにお客様オリジナルのダクト消音システムを確実に開発することが可能です.


価格
製品概要
用途
キット内容

 

ANCKITボード全景C6713 DSK(DSPボード)+ DSK8AD1DA(A/D・D/Aボード)+ アンプ/フィルタ・ボード

[キット付属ミニチュア・ダクト全景]

ミニチュア・ダクト上流部分ミニチュア・ダクト下流部分写真左:ダクト上流側
写真右:ダクト下流側

 

オプション
製品の特徴
その他

 
適応フィルタの動作速度

ANCKITで用いているLMSアルゴリズムを用いた適応フィルタ(下図左)の演算は,FIRフィルタの演算(FIR filter)とフィルタ係数更新演算(LMS algorithm)に分けて考えることが出来ます(下図右)

[適応フィルタの構成]
適応フィルタ FIR filter + LMS algorithm

それぞれの処理の1タップあたりの実行クロック数と演算時間(C6713 DSKのクロック周波数225MHzの場合)を下表に示します.
  clock count [clock/tap] execution time [ns/tap]
 FIR filter  LMS algorithm  total  FIR filter  LMS algorithm  total
 normal 5 15 20 22 67 89
 fast 3 7 10 13 31 44

オプションの射影アルゴリズム・ライブラリの動作速度は下表のとおりです. 係数更新アルゴリズムがLMS algorithmから射影アルゴリズム(affine algorithm)に代わります. FIR filter関数はTIの信号処理ライブラリを用いて記述しています.

  clock count [clock/tap] execution time [ns/tap]
 FIR filter  affine algorithm  total  FIR filter  affine algorithm  total
 affine 3 8 11 13 36 49
 
 
簡略化した構成での実験例

簡略化した構成での騒音レベルの変化マイクを1本のみ使った簡略化したシステム構成での実験結果です.(ファンはオフにした状態での測定結果です) エラー・センサー・マイクの出力波形を描いています.(横軸:時間,縦軸:振幅) 時間軸の約15秒の時点でANC動作をオンにしています. 時間と共に適応アルゴリズムが収束し,騒音レベルが低下している様子がわかります.

実際に音を聞いて消音効果を確かめてみてください.
anc02.wav (2813KB)

[簡略化した構成での消音効果]打ち消し前後の騒音スペクトルの比較のグラフです. (横軸:周波数,縦軸:音圧レベル)

 水色:ANCオフ
 紫色:ANCオン

2kHz以下の周波数で約10dB〜25dB程度の消音効果があります.

 

[簡略化したダクト消音実験システムの構成]この構成は消音システムの基本的な動作チェックに用いられます. この構成ではダクト長の制約を受けずに消音実験をおこなうことが出来ます.

上の波形およびスペクトルのグラフは左図のエラー・センサー・マイク(ERROR)の出力信号の波形とスペクトルを描いたのものです.



[ダクト内に乱流が発生している時の消音効果]ファンをオンにした状態での測定結果です. スピーカから生成したランダム・ノイズとファン・ノイズの両方に対して消音をおこなっています.

 水色:ANCオフ
 紫色:ANCオン

ファンをオンにするとダクト内に乱流ノイズが発生するために,その影響を受けて消音量が低下します. ダクト消音システムの性能評価は必ずダクト内にエアフローを流した実使用状態でおこなわなければなりません.(乱流発生用ファンはオプション)


 
正規の構成での実験例

騒音レベルの変化実際のダクト消音システムに用いられる構成での実験結果です.(横軸:時間,縦軸:振幅) 時間軸の約15秒の時点でANC動作をオンにしています. オプションの小型ファンでは十分な音圧レベルが得られないので,スピーカから再生したランダム・ノイズの消音をしています.

実際に音を聞いて消音効果を確かめてみてください.
anc04.wav (5626KB)


[消音効果]打ち消し前後の騒音スペクトルの比較のグラフです. (横軸:周波数,縦軸:音圧レベル)

 水色:ANCオフ
 紫色:ANCオン

1kHz以下の周波数で20dB程度の消音効果があります. 取扱の容易さを考量したためにANCKIT付属ダクトは全長1.5mしかありませんが,もっとダクトが長い実際の消音システムではより大きな消音効果が得られます.


 

[実際のダクト消音システムの構成]実際のダクト消音システムで用いられるシステム構成です.(ハウリング防止用フィルタなどを含みます) キット付属のソースプログラムを一部手直しするだけで,お客様が作成された消音システムにそのまま転用可能です.

 

[インパルス・レスポンス]適応アルゴリズム(LMS)が収束した状態での適応フィルタのインパルス・レスポンスです.(グラフ表示の都合で時間軸が左右逆転しています) ぎりぎりのダクト長なのでインパルス・レスポンスの頭が少し切れていますが,実験には十分な消音効果が得られています. 

インパルス・レスポンスがかなり長く尾を引いているのはダクト内の定在波を完全には抑圧出来ていないためです.(ダクト両端で吸音材による吸音処理をしています) 実際のダクト消音システムでも,構造上の制約があるため,定在波をゼロに出来るわけではありません.



[ダクト内に乱流が発生している時の消音効果]オプションのファンをオンにした状態での測定結果です. スピーカから生成したランダム・ノイズとファン・ノイズの両方に対して消音をおこなっています.

 水色:ANCオフ
 紫色:ANCオン

ファンをオンにするとダクト内に乱流ノイズが発生するために,その影響を受けて消音量が若干低下します.(この例では消音効果の低下はそれほど顕著ではありません)


 
加速度センサを用いた実験例

加速度センサを用いた消音実験も可能です.(ANCKITには加速度センサは含まれていません)


[ダクト消音システムの簡略化したシステム構成図]左図はダクト消音システムの簡略化した構成図です.
ダクト上流からのノイズをセンスするためにマイクを使っています.


 

[加速度センサを用いたダクト消音システムの簡略化した構成図]一方,マイクの代わりに,加速度センサを使ってノイズを検出して消音をすることも可能です. この構成には音響的なフィードバック・パスがありませんので,ハウリング防止用フィルタを省略することが可能です.(厳密には打ち消しスピーカから発生した振動の一部が加速度センサでピックアップされます)

加速度センサの取り付け状態実験例では騒音発生用スピーカのエンクロージャに振動検出用の加速度センサを取り付けています. エンクロージャ内側には防振用のブチルゴムを貼り付けてありますが,それでも十分に加速度センサで振動検出可能です. 使っている加速度センサは電子血圧計用の周波数特性のあまり良くない圧電型のものです.

[雑音検出にマイクを使った場合の消音効果]雑音検出にマイクを使った場合の実験結果です.

 水色:ANCオフ
 紫色:ANCオン

定在波を完全には抑圧できていないために,その影響を受けて周波数により消音量がばらつきます.

 

 

 

 



[雑音検出に加速度センサを使った場合の消音効果]雑音検出に加速度センサを使った場合の実験結果です.

 水色:ANCオフ
 紫色:ANCオン

加速度センサの周波数特性の影響等のために消音帯域は狭くなっていますが,定在波の影響はみられません.

 

[回転センサを用いたダクト消音システムの構成]実際の消音システムでは,エンジン排気の消音をおこなう場合などに加速度センサを用いたノイズ検出手法を適用可能です. エンジンの振動エネルギーの一部が音響エネルギーとして放射されるのですから,音圧レベルを検出しても加速度を検出しても同じことです.(コヒーレンスが大きければ問題ありません)

クランク軸の回転に同期した調波成分のみに対する消音をおこなうのであれば,マイクや加速度センサの代わりにクランク軸の回転数を検出する回転センサを使ってもかまいません.

 

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